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Posted by 月見あかり - 2012.02.20,Mon
『赤ずきん』という映画を借りてみました。
有名な童話の後日談(というか十数年後?)という設定の超ダークファンタジーです。
雪かきしながら「オオカミ男かぁ」と考えていたら、いつのまにかルルシー変換しちゃっていたり。

続きにごく短い妄想入れておきます。


ごそ、と動く気配に女は目が覚めた。
窓から入り込む満月の光。その端を夫の背が一瞬だけ掠める。
「・・・るるーしゅ?」
こんな時間にどこへ行くんだ?と身を起こしながら女が問えば、黒髪の男はギクリと身体を強張らせた。
なにも答えない夫に不信感を抱いた女はもう一度名前を呼ぶ。
ゆっくりと振り返る男。その顔を見た女は息を呑んだ。
一級品の紫水晶のような彼の瞳が、紅く輝いていたのだから。
「C.C.・・・」
男は静かに妻の名を呼び、そして告げた。
自分が狼男であることを。
満月の夜は血が騒ぎ、獲物を漁りに出ていることを。
ベッドの上で放心している妻の傍に寄り、白い頬に手を添える。
「黙っていてすまなかった。・・・さようなら」
そっと手は離された。
男は身を翻す。
そのまま部屋を出て行こうとした男は、しかし袖を引かれて足を止めた。
「おい、なにやって・・」
「知っていたさ。お前が少し変わっていることも、満月の夜に決まって姿を消すことも」
「なっ・・!」
袖を掴まれていることも忘れ、男は振り返る。
美しい妻は凪いだ琥珀の瞳で夫を見つめ返した。
「お前、人を襲ったことはないだろう? いつも家畜ばかり狙われていたからな」
「・・・・・」
「道理で他の家よりもウチのチビが狙われるはずだよ。しかもご丁寧に毎回1.5頭分の金貨まで残して・・・それこそ金の無駄じゃないか 」
「それは・・・」
「ウサギも殺せないような顔をして・・・仔ヤギでも仔ヒツジでも仔ブタでも、丸々1頭必要なら云え、このバカ」
「ッ、・・!」
あまりの云われ様に、男は貌を歪める。
しかし女はそっと眼を閉じて、男の胸に額をつけた。

「・・・ただし、人間で襲っていいのは私だけだ」

他の連中には手を出すなよ、と女は釘を刺す。もちろん、食い殺されるその場限りの餌の意ではない。
―――生涯で伴侶とするのは自分だけにしろ、と。
女が云ったことは、つまりはそういうことだ。
カアッと全身の血が滾り、女の唇を男が夢中で貪ってしまったのは、獣の本性か、それとも男の性か。
「早速襲われるとは思わなかったぞ」と苦笑する妻の夜着に手を掛け、男は妖しく笑った。

「うるさい。大人しく食われてろ」


fin.


(生まれた子どもに獣耳とか生えてたら可愛いよ!)


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